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評価:
「障害者のリアルに迫る」東大ゼミ
ぶどう社
¥ 1,620
(2016-08-06)
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私も今年5月にゲストとして登壇させて頂いた「障害者のリアルに迫る」東大ゼミが、本になりました!
昨年のゼミの内容が中心なので、私は出ておりませんが、さすが野澤和弘さんプロデュースだけあって、超豪華なゲスト陣に圧倒されます。
ゲストの方々のお話=「障害者のリアル」については実際に本書を読んで頂くとして、やはり気になるのは「東大生のリアル」の方ですね。
東大生の皆様の赤裸々な「リアル」の数々、私も東大出身の端くれなのですが、駒場時代のモヤモヤした気分を思い出して、澤田さんのお話や関島さんのお話、出張中の歌舞伎町のオムニ食堂で朝から読み耽ってしまいました。
私自身は、かなりイレギュラーなルート&手法で東大に入った人間なので、本書内でも頻繁に出てくる&東大生であればたいていの人が取っているであろう「学年一位」なる順位を、小・中・高と一度も取ったことが無いんですよね。一回くらい取ってみたかったな・・・(笑)。
そのため、いわゆる中高一貫の優等生軍団や、地方からサクッと現役で合格した皆さんとは在学中もあまり縁が無かったのですが、それでも「分かるぜ、その気持ち!」感が全章に渡って満載でした。駒場生、そしてかつて駒場生だった全ての人のハートにジャストミート(死語)な一冊です。
私も大学時代は、入学直後の基礎演習で失敗したとか、入院して単位が取れず進学振り分けで社会学に行けなくなりそうになったりとか、学期の節目ごとにしょっちゅう「死にたい」って思ってましたしね。。。東大生、万能感に満ちているように思えて、意外と不安定なんですよね。
私が在籍していた社学の上野ゼミは「東大の保健室」と呼ばれており、私を含め色々なものをこじらせた東大生やLGBTの人やもぐりの他学部・他大生が集まるカオスな空間だったのですが、それゆえに?人材を輩出しまくっているような気がするので、大学時代の中で(もちろん自傷や他害にならない範囲で)「こじらせる時期」というのは、絶対に必要だと思います。
その意味で、東大生が在学中に正しいこじれ方&こじらせ方をするにはどうすればいいのか、というヒントが本書に眠っている気がします。
悩める東大生が自分の生き方を見つめ直すきっかけとして「障害者のリアル」が取り上げられていますが、もちろん障害者ではなくても、きっかけはいくらでもあるはず。私にとっては、それが社会学であり、上野ゼミでした。
東大は色々な意味で息苦しい&生き苦しい場所かもしれませんが、「初めて息が吸えた」と思える場所が見つかれば、世界の見え方が一気に変わるのではないでしょうか。一人でも多くの東大生が「初めて息が吸えた」と思える場所を見つけるために、本書が羅針盤の役目を担ってくれればと思います。
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★ホワイトハンズ:2016年下半期のイベント予定
■7月7日(木) 京大人文研「液状化する親密圏」@東京丸の内
■7月17日(日) 「障がい者の性」基礎研修2016@京都
■7月18日(月・祝) セックスワーク・サミット2016夏@渋谷
■8月28日(日) 「障がい者の性」基礎研修2016@名古屋
■9月18日(日) セックスワーク・サミット2016秋@渋谷
■9月19日(月・祝) ららあーと@東京
■10月2日(日) 「障がい者の性」基礎研修2016@金沢
■11月6日(日) 風俗福祉基礎研修2016@渋谷