本日、新宿歌舞伎町にて、「セックスワーク・サミット2012@歌舞伎町」を開催いたしました。
風俗嬢をはじめとするセックスワーク当事者(異性愛&同性愛)の方、経営者の方、セクシュアルマイノリティの方、ワーカー支援団体のメンバー、大学教員・研究者・院生の方、雑誌記者・ライターの方、テレビ局の方、障害当事者の方、セックスワーク関連書籍の著者の方、AVメーカーの方など、多くの皆様にご参加頂きました。
歌舞伎町・初開催にも関わらず、セックスワークの「オールスター」勢ぞろい、ともいえる、豪華な顔ぶれの皆様にお集まりいただき、感謝しております!
テーマは、「セックスワークの社会化」。これからのセックスワークのグランドデザイン=セックスワーク「3.0」のビジョンをホワイトハンズが発表し、それについて参加者の皆様と議論をする、という形で進行いたしました。
まず、参加者の皆様お一人ずつに、自己紹介をして頂きました。これが、非常に濃い&熱い。自己紹介だけで一冊の本が書けるのでは、と思わされました。
その後、私が「セックスワークの現状分析+社会化のためのスローガン」を発表。それに続いて、参加者の皆様お一人ずつに、「これからのセックスワークの在り方」を、5分ずつ発表して頂きました。
そして、この発表もまた、非常に熱い&濃い!皆さん、知識&経験の引き出しが、とんでもなく多すぎです。この発表だけで、新書が2〜3冊分書けるのでは、と思わされました。ブログの前の出版社の皆様!ぜひ、企画を出してください(笑)。
詳しい内容は、後日冊子形式にまとめて、ホームページ上で配布を開始する予定なのですが、ちょっとだけ、発表で出た論点を、さわりだけ紹介します。
・風俗嬢の職業意識の幅は、非常に広く、どのような意識で働いているのか、を一概に語ることは困難。
・職業意識の高い人は、自力で何でもできるが、低い人に関しては、何らかのサポートが必要だと思われる。財形や保険の知識など、働いていく上で、一般的な社会常識を教えることが必要。
・このサミットに来ているようなセックスワーカーの人は、一部のインテリ&エリート層であろう。問題は、このサミットに来られない&そもそも来ようとも思わない、収入面でも、心身の健康面でも、労働環境面でも、底辺にいる人たちである。
・「3.0」の世界では、そうした人に対して、「そもそも、初めからセックスワークの世界に入ってこられないように、参入障壁を築け」と切り捨ててしまっているが、それでは批判は免れないだろう。何らかの形で、そうした人たちへの救済策を講じるべき。
・「人前で、女性が裸になる行為」を社会化するのは、一部の例外を除いて、そもそも不可能。「社会化できない中で、どれだけ改善していけるか」が、本当の論点では無いだろうか。
・風俗嬢をはじめ、セックスワーカーの社会的認知度・信頼度を向上させていくためには、「アイコン」=ロールモデルとなるような個人が必要。この世界に参入してくる人たちから、「あの人みたいになりたい!」と思われるような存在の個人をつくるべき。
・AV(アダルトビデオ)の世界では、既に「3.0」の世界は実現している。いわゆるトップクラスのAV女優の中に、一昔前のような「精神的に病んでいる子」「学歴の無い子」「社会に自分の居場所が無い子」はいない。高卒や大卒で、他にも居場所があるにもかかわらず、自分の意思で、高い好奇心とモチベーションを持って参入し、一生懸命頑張る子がほとんど。
・というよりも、もはやそういう女性でなければ、AVの世界では仕事が無い。プロダクションやメーカーでの選別過程で、そういうレベルの高い女性でなければ、そもそも採用されないようになっている。
・セックスワークの運営主体を、不良=アウトロー的な属性の人間から、一般人に変えれば、女性の報酬取り分は、もう少し多くなるかもしれない。
・吉原をはじめ、セックスワークの世界には、「反社会の中の社会」とも呼ぶべき、それなりの秩序=「負の社会性」がある。その中に長年安住していると、世間一般の感覚とはずれてしまうかもしれない。
・これからは、「兼業型風俗嬢」が主流になる、というか、既になっていると思う。専業型風俗嬢は、一般常識や社会性の欠如から、長続きしない場合が多い。
・いくつかの業態を掛け持ちしているが、自分の中で積極的に取り組みたい「やりがい重視」の業態と、あまりやりたくはないのだが、お金になるのでやらざるを得ない「生活重視」の業態があって、悩んでいる。顧客のニーズが、「やりがい重視」の業態の方に向いてくれれば良いのだが・・・。
・一部の性風俗の世界でも、「3.0」の世界は、既に実現している。ただ、男性側が、それに気づいていないだけ。セックスワークに対する、男性側の理解度を上げることが大切!
・セックスワークは、女性にとっての「敗者復活」の場。AVのように、「3.0」化で、一部の選ばれた女性しか稼げない世界になってしまったら、「敗者復活」ができずに、そのまま沈没してしまう女性が、大量に生み出される結果になるのでは?
・「社会性が無いからこそ、セックスワークの世界の居心地が良い」という層も、少なからず存在するはず。社会化してしまったら、そうした層はどうなる?
・これからのセックスワークの世界には、10代〜20代の若い女性ではなく、「M字雇用の2つ目の山」=30代以降の女性に参入してきてほしい。結婚を通した性生活の経験があるという点、それなりの社会経験があるという点、育児や介護で排泄等のケアに慣れている、という点で有利であるし、パートタイムで働くことができるので、生活費の足しにもなるはず。
・ただ、そうした女性が実際に働く際には、「世間体」という大きな壁がある。その壁をなんとかできるような、新しいセックスワークの業態・サービス内容を打ち出せればいいのでは。
・これからのセックスワークは、「個人営業」の世界に向かうと思う。出会いカフェなどが、そうした個人営業のインフラになればいいのだが、規制の影響で店舗数をこれ以上増やせないなど、いくつかの課題がある。安全に個人営業を行えるようなインフラを整備することが大切ではないだろうか。
・「セックスワーク」と一言で語ってしまいがちだが、発言者の立場や属性によって、その言葉の意味は、大きく異なる。セックスワークについて議論する前提として、その言葉の持つ多様性に敏感であるべき。
・セックスワークで働くことによって、救われる人もいる。そして、それは女性側だけではなく、客側の男性もそうだ。女性と客の「相互救済」という役割がある、という側面も忘れてはいけないだろう。
・・・などなど、この10倍くらいの論点・意見・提案を出して頂きました。
そして、気が付けば、時間が思いっきり押している、と(笑)。自由討論、本当は90分のはずが、30分に大幅短縮になりました。す、すみません・・・。
短い時間ではありましたが、自由討論の場でも、多くのご意見・ご提案を出していただくことができました。できれば、午前中かサミットを開始して、もっと長時間、討論したかったですね。
今回は、司会の方が大活躍で、これだけの多様な&濃い参加者の発表や討論を、うまく仕切ってまとめてくださいました。
いや、この「セックスワーク・サミット」の司会、ジェンダーやセクシュアリティに関する相当な(最低でも修士~博士レベルの)知識と教養、セックスワークの現場知識、そして、議論をさばく論理的な思考能力と機転が無ければ、とても務まらない、超絶難易度の仕事ですよ。少なくとも、私には無理です(←おいおい)。本当にありがとうございました。
参加者の皆様には、議論の際のおつまみとして、新潟名物のお菓子「朱鷺の子」をお配りしました。うまいんだ、これが。私は食べられませんでしたが・・・。
セックスワーク関連イベントの告知チラシの配布も、受付にて行いました。
休憩時間は、参加者の皆様同士で、名刺交換&挨拶の嵐・嵐・嵐!
著名な方が結構いらっしゃった、ということもありますが、皆さん、非常にアクティヴです!!私も、役得で、参加者の方の著作にサインをもらいました〜(ミーハー)。
今回のサミットが、セックスワークに関する研究調査・情報交換・人脈作りの場になれば幸いです。
終了後、地元にお住いの参加者の方が紹介してくださったお店で、懇親会を行いました。これもまた、濃い懇親会でしたね・・・(笑)。私は新幹線の終電に間に合わせるため、2時間ほどで退席させて頂きました。
夜の歌舞伎町。今更ですが、歌舞伎町のマクドナルド、2店舗とも無くなっていましたね。新潟の古町もそうですが、「マックが消える=街が死ぬ」ような気がしてならないのですが。
というわけで、「セックスワーク・サミット2012@歌舞伎町」、参加者の皆様&司会の方のおかげで、大盛況のうちに終了することができました。「3.0」の世界、少しはその片鱗が見えてきたような気がします。
セックスワークに関する議論・情報交換・発表をするインフラとして、サミット、今後も全国各地で、定期的に開催していきたいと思います。
これからのセックスワークのグランドデザイン=「3.0」の世界に関する議論はひとまず終わったので、次回以降、業態別・テーマ別の個別具体的な議論に進んでいきたいと考えております。ご興味のある方は、ぜひ!お気軽にご参加ください。
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代表理事 坂爪真吾(さかつめ・しんご)
私たちは、「新しい性の公共」をつくります。